AIでホームページはつくれる。でも、事業で使えるサイトになるかは別の話

読了目安 10分 Web制作・UX
コンパスと鉛筆でWebサイトの構成を整え、絡まった線を整理する人の手。背景には控えめなAIを思わせる光のネットワークがある

最近、ビジネスの集まりで「AIで自分のホームページをつくる予定です」「必要な修正はいつでも自分で指示できます」と聞くことが増えました。マーケティング、デザイン、プログラミングの経験がなくても、プレミアムなAIツールに頼れば、制作会社を介さず素早く進められると感じるのは自然なことです。AIによって、アイデアを形にする最初の一歩は驚くほど軽くなりました。ただし、画面上にサイトが現れることと、初めて訪れる人に信頼され、検索で見つけられ、日々の事業に役立ち、長く安全に使えることは別の問題です。

AIは強力な道具です。けれど、目的・判断・責任までは代わりません。

AIは原稿のたたき台、ページの案、コードの一部、画像の方向性、改善案を素早く出せます。その力を否定する必要はありません。私たちクリックマークも、経験を補強し、調査・制作・確認をより良くする道具として活用しています。一方で、出力を採用するか、どこを直すか、誰にどの順番で何を伝えるか、公開後に何を守るかは、事業と利用者を理解した人が決める仕事です。

  1. AIで「つくり始める」ことは以前より簡単になった
  2. 見た目だけでは、伝わる・選ばれる・使い続けられるサイトにならない
  3. 良い入力と、良し悪しを判断する基準が結果を大きく左右する
  4. 技術・運用・責任の設計は、プロンプトの外側にも広がっている
  5. 経験あるチームほど、AIを速さと品質の両方に活かせる

AIでつくったサイトを見て、私たちが確認すること

AIを使ってつくられたサイトがすべて悪いわけではありません。小さな実験、個人の発信、事業の初期検証では、自分で素早く形にすることが最適な場合もあります。ただ、制作後のサイトを見ると、完成して見える画面の裏側に、事業で使うには見過ごしにくい課題が残っていることがあります。

  • 誰に何を伝えるかが曖昧:サービスの説明、選ばれる理由、事例、価格の考え方、相談の入口が、初めての人の判断順に並んでいない。
  • デザインに一貫性がない:色、余白、見出し、画像、ボタンがそれぞれ“それらしく”見えても、ブランドとして記憶される体験になっていない。
  • 内容が一般論のまま:もっともらしい文章はあっても、その会社にしか言えない知識、実例、方針、答えが見つからない。
  • 検索や共有の基本が弱い:ページごとの主題、タイトル、説明、内部リンク、画像情報、重要なURLの考え方が整理されていない。
  • 速さと使いやすさが確認されていない:重い画像、不必要な処理、読みづらい文字、分かりにくいフォーム、スマートフォンでの操作などが残っている。
  • 運用と引き継ぎが考えられていない:公開後に誰が更新し、どのアカウントを持ち、問題が起きたときに誰が対応するかが曖昧なままになっている。

こうした点は、AIが使えないから起こるのではありません。事業の文脈、デザインの判断、技術的な確認、利用者への配慮を、出力の前後で誰が担うかが決まっていないと起こります。AIは、曖昧な問いを自動的に戦略へ変えてくれるわけではありません。

速く変えられることと、良い判断ができることは別です

AIで変更案をすぐ出せることには、確かな価値があります。制作会社とのやり取りが遅い、意図が伝わらない、公開後に相談先がないという過去の経験があれば、なおさら魅力的に映るでしょう。これは私たちにとっても大切な問いです。AIを活用して、待ち時間や不要な往復を減らしながら、相談と確認をきちんと行うことが、今の制作会社に求められています。

ただし、早い出力は良い出力の証明にはなりません。あとでAIでつくられたサイトや仕組みを確認すると、整って見える画面の裏に、意図の薄いデザイン、重い表示、検索の土台不足、ロボットのような文章、更新しにくい構成、権限や保守の曖昧さが残っていることがあります。つくった本人には分かりやすくても、初めての顧客、検索エンジン、次に更新する担当者は、同じ前提を持っていません。

AIは「もっともらしい」結果を、非常に速く出せます

だからこそ、良いものとそうでないものを見分ける基準が必要です。曖昧な目的や一般的な指示からは、もっともらしくても焦点の合わない成果が生まれやすくなります。設計、文章、デザイン、技術のどこに問題があるかを確認できなければ、数か月後・数年後に土台ごと作り直すことになりかねません。

試作できることと、事業で任せられることの間

以下の投稿は、小さな事業の人がAIで内製ツールをつくれると感じる場面についての、ひとりの実務者の観察です。AIが試作や小さな自動化を身近にしたことは確かですが、それだけでソフトウェア開発全体の必要性がなくなるとは言えません。

“I legit know a few people with small businesses who have been telling me all the internal tools they can build with AI and software engineering is dead. They’re not in the software industry.”

Tyler (@rezoundous)

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実際に使い続ける仕組みには、目的、業務の例外、データと権限、利用者への説明、テスト、変更後の保守、そして問題が起きたときの責任が関わります。AIはその最初の案や反復を速くできます。だからこそ、試作をどこまで任せ、どこから設計・レビュー・運用を必要とするかを区別することが大切です。

ホームページやWebシステムは、プロンプトだけで完結しません

サイトを公開するまでには、画面に見えるページ以外にも、多くの判断と責任があります。すべてが毎回大きな作業になるわけではありませんが、どれを誰が持つかを把握しておくことが、後から困らないための土台です。

01

目的・顧客・導線の設計

問い合わせ、購入、予約、採用、既存顧客への案内。サイトの役割が違えば、必要なページと情報の順番も変わります。AIへの指示も、ここが明確であるほど精度が上がります。

02

ブランドとコンテンツ

らしさは、ロゴや色だけではありません。言葉の選び方、写真、事例、約束、よくある質問、各ページの優先順位まで含めて、初めての人が「ここに相談してよい」と判断できる状態をつくります。

03

技術基盤と公開の責任

ホスティング、ドメイン、DNS、メール、CMS、バックアップ、権限、セキュリティ、フォーム、外部サービス、データの扱い。これらは見た目には現れにくいものの、サイトを使い続けるための会社の背骨です。

04

品質確認とアクセシビリティ

スマートフォンとパソコンでの表示、キーボード操作、文字とコントラスト、画像の代替テキスト、リンク、フォーム、エラー時の案内。誰がどの環境で使うかを想像して確認します。

05

SEO・計測・改善

検索エンジンに何を理解してほしいか、どのページが読まれているか、どこで問い合わせを迷うかを見ながら、内容と導線を育てます。公開は終わりではなく、実際の利用から学び始める日です。

06

保守・サポート・次の判断

更新、プラグイン、バックアップ、不具合、コンテンツ追加、新機能、リニューアル。日々の支援と、別途計画すべき大きな変更を分け、無理のない運用の道筋をつくります。

「自分では見えない」ことは、能力の不足ではありません

自分の事業を深く知っている人ほど、当たり前すぎて説明しないことがあります。一方、初めて訪れる人は、その前提を持っていません。外部の視点と専門性は、事業の価値を利用者の言葉と判断順に翻訳するためにあります。

AIは、経験者にとっての「新しい自転車」に近い

自転車があれば、徒歩より速く遠くへ行けます。しかし、どこへ向かうか、交通をどう読むか、どの道が安全かは自転車そのものは決めてくれません。AIも同じです。経験がある人にとっては、繰り返しの作業を減らし、比較する案を増やし、調査や実装の速度を上げる強力な乗り物になります。

私たちにとってAIは、経験を置き換えるものではなく、長年の制作・開発で身につけた判断をより速く、より確かに形にするための道具です。多くの優秀なジュニアスタッフが最初の案や調査を手伝ってくれる状態に近い一方、彼らに何を任せるか、どの出力を採用するか、どこを検証するかは経験ある人が担います。良い問い、判断基準、レビュー、テストがあって初めて、AIは事業に合う成果を速く・確かに仕上げる力になります。

DIYが合う場面と、専門家と組む価値が大きい場面

すべてのサイトに大きな制作体制が必要とは考えていません。小さなアイデアの検証、イベント告知、個人のポートフォリオ、初期のランディングページなどは、AIやノーコードのツールで始める良い選択になり得ます。まず公開して学ぶことに価値がある場面もあります。

一方で、会社の顔になるサイト、営業や採用に使うサイト、複数人で更新するCMS、ECや予約、個人情報を扱うフォーム、既存の検索流入を引き継ぐリニューアル、日英の情報発信、業務とつながるWebシステムでは、後からの修正が大きな負担になることがあります。数か月、数年と使う前提なら、最初に“捨てずに育てられる土台”を考える価値があります。

クリックマークは、速さだけでなく「使い続けられる正しさ」をつくります

過去に制作会社とのやり取りが遅かった、意図が伝わらなかった、公開後に相談できなかったという経験をお持ちの方もいるでしょう。その不安はもっともです。だからこそクリックマークは、仕様が固まっていない段階から目的と優先順位を整理し、確認すべきことを見える形にし、日々の変更と大きな制作を分けて進めます。

長年にわたり、数多くのホームページとWebシステムを企画・制作・公開・運用してきた経験があります。Webデザイン、コンテンツ、WordPressなどのCMS、カスタム開発、SEO・計測、技術基盤、保守を、一つの事業のための仕組みとして考えます。もちろん、AIもその中で積極的に活用します。大切なのはAIを使ったことではなく、使うことでお客様の事業にどんな良い変化を残せるかです。

新規制作はホームページ制作、既存サイトの見直しはホームページリニューアル、検索と計測はSEO・アクセス解析・ローカル集客、業務とつながる仕組みはカスタムWebシステム開発、環境や権限を含む確認はWebサイトの技術基盤整備、公開後の支援はWebサイト保守・運用サポートとしてご相談いただけます。

よくある質問

AIを使うなら、制作会社は必要ありませんか?

目的と状況によります。AIで自分でつくることが適した小さな取り組みもあります。一方で、ブランド、顧客の判断、検索、技術基盤、運用、責任が関わるサイトでは、AIの出力を事業に合う形へ導き、確認し続ける専門性が価値になります。

AIで作った既存サイトの改善や引き継ぎも相談できますか?

可能です。まず、サイトの目的、コンテンツ、管理権限、ホスティング、フォーム、更新方法、計測、技術的な状態を確認し、部分改善でよいことと、別途計画すべきことを整理します。

クリックマークはAIを使わないのですか?

いいえ。AIを、調査、下書き、比較、実装支援、品質確認などに活用しています。ただし、事実確認、デザインの判断、利用者への配慮、技術のレビュー、公開の責任をAIへ丸投げすることはありません。

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